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領南(リンナン)百貨店の地下1階は、食料品売り場である。
“領南超市”という。
読んで字のごとく、スーパーマーケットなのである。
“超市”の入口では手荷物を預かってくれて、引換券を渡してくれる。
日本より進んでいるかも。
なかなか親切である。
カートを一台拝借した。
日本のスーパー同様、売り場の外周の壁には生鮮食品用のコールドケースが並んでいる。
そのケースに沿って、売り場を時計回りに流していった。
肉のコーナーで、牛肉のパックを一つカゴに入れた。
更に進むと、日本と同じような豆腐のパックが売られていたので、手に取ろうとしたら、そこに注意書きが貼ってある。
“買二送一△△元”と書いてある。
中国語の達者でない私は、多分「2個一まとめに買うと△△元」ということだと解釈し、少し多いけど二つカゴに入れた。
もう少し行くと、綺麗なオネーチャンが紙コップで何かを配っている。
近付いて良く見ると、新発売の牛乳のようである。
毎日、白牛乳を飲んでいるので、『今日はコーヒー牛乳がいいな』と思い、茶色いのを一つ貰った。
喉が乾いていたので、一気に飲み干した。
異常に甘い。
ココア牛乳だった!
『おいおい、変な物、売るなよー!』と思いながらも、オネーチャンが可愛いので許した。
ところで、台湾の食べ物は甘い。
お菓子、ジュース、ヨーグルトは言うに及ばず、果ては醤油まで“甘口”と銘打って売っているほどである。
果汁100%ジュースなど、ほとんど無い。
烏龍茶も、ご丁寧に砂糖入りだったりする。
そうこうしているうちに、レジに辿り着いた。
一応、バーコードを読み取るPOSシステムのようである。
ところが、レジは何故か渋滞している。
レジの方向を覗き込んでみると、センサーの読取りの感度が異常に悪く、小姐が商品をセンサーの前で行ったり来たりさせている。
センサーを手でバンバン叩いている荒っぽい小姐もいる。
明らかに手でレジを打った方が早い。
しかし、ここは台湾なのでじっくり待つことにした。
やっと順番が回ってきた。
センサーの前で商品を操る仕種が面白いので見ていると、突然小姐が何やら喋り始めた。
台湾語である。
英語は全く話せないようである。
豆腐を手にしながら、何か言っている。
どうやら、「今日の豆腐は美味いよっ、オニーサン!」ではなさそうだし…。
身振り手振りも含めて良く観察した。
こうなると、もはや伝言ゲームである。
しばらくして、やっと分かった。
どうやら、“買二送一”は、“2個買うと、1個ついてくる”ということらしい。
“送”は、プレゼントの意味なのだ!
私は、『ゲっ、3個も食うの?』と思いつつ、渋々売場から、もう一つ豆腐を取ってきた。
そしてレジに戻ってみると、今度はレジのカウンターの上が血だらけである。
『何事だ!?』と思って良く見ると、何と私が購入した牛肉のパックから血が漏れ出していたのである。
でも小姐は平然と、その牛肉パックを他の物と一緒にビニール袋にブチ込んだ。
こうして私は伝言ゲームに勝利したのであったが、帰宅後、血まみれの豆腐や野菜を洗う羽目になった。
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